歩いたり立ったりするのも辛い股関節の痛み「変形性股関節症」
歩いたり立ったりするのも辛い股関節の痛み「変形性股関節症」
とくに原因が思い当たらないのに、最近、脚の付け根の前面やお尻、
太もも、ひざなどにだるさや鈍い痛みを感じ始めたら、
それは「変形性股関節症」かもしれません。
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減って起こる疾患です。
最初は鈍い痛みでも、股関節の変形が進行すると、
歩いたり、立ったりする際にも辛く、じっとしていても痛みが出てきます。
そもそも股関節は、人の中でもっとも大きな関節で、
その位置や構造、働きにより、大きな負担がかかるようになっています。
片足立ちをすれば、股関節には体重の約4倍の重さがかかりますし、
早足で歩けば、体重の約10倍もの力がかかると言われています。
座った状態から立ち上がる時や階段の上り下りなどでも
股関節には大きな力がかかります。
こうした負担が股関節にかかり続け、軟骨が徐々にすり減ってくるのです。
長年、負担を受けた股関節が変形するため、
変形性股関節症の原因は加齢(老化)が挙げられますが、
ベースとして乳児の時の先天性股関節脱臼や
生まれながらに股関節の骨盤側の受皿に形成不全がある人が罹りやすく、
これを「二次性変形性股関節症」と呼びます。
また運動や重労働、太り過ぎなどの生活習慣も原因となり、
これは「一次性変形性股関節症」と呼びます。
日本人の変形性股関節症は約300万人ともいわれており、
そのうちの8割が「二次性変形性股関節症」だと推定されています。
とくに女性の場合は、更年期からは骨粗しょう症のリスクが増え、
骨密度が減少し、軟骨も部分的に減ってきます。
そのため、変形性股関節症は非常に女性が多いのです。
変形性股関節症は慢性的に経過していき、徐々に関節が壊れていきます。
一度壊れた関節は元に戻りません。
ですから、厳しい言い方をすれば、変形性股関節症は治りません。
治療は、年齢と変形の度合によって異なります。
高齢で変形が進んでいる場合は、手術で人工関節を入れる方法があります。
50歳以下の若い方で変形も軽度であれば、
保存療法(生活改善、温熱療法、運動療法)で進行を遅らせる方法をとります。
そこで、自分が変形性股関節症かなと思ったら、まずは必ず整形外科で
きちんと診断することです。
保存療法を勧められた場合は、しっかりとそれに従うことです。
とくに運動療法では筋トレ、ストレッチ、マッサージなどが重要となってきます。
当院では、変形性股関節症の治療に、運動療法にプラスして、
鍼灸などを組みあわせ、痛みの緩和や進行を遅らせる治療を積極的に行っています。
股関節の痛みでお悩みの方はぜひ、ご相談ください。